分子細胞生物学

PubMedID 28189684
Title Decreased linear ubiquitination of NEMO and FADD on apoptosis with caspase-mediated cleavage of HOIP.
Journal Biochemical and biophysical research communications 2017 Mar;485(1):152-159.
Author Goto E,Tokunaga F
  • アポトーシスにおけるHOIPの切断と直鎖状ユビキチン化制御
  • Posted by 大阪市立大学大学院医学研究科分子病態学 徳永文稔
  • 投稿日 2017/03/23

LUBACはHOIP、HOIL-1L、SHARPINのサブユニットからなるユビキチンリガーゼ(E3)で、HOIPのRING-IBR-RINGドメインを活性中心として直鎖状ユビキチン鎖を生成します。この酵素活性は、NF-κBシグナル制御に必須であり、LUBAC欠損下ではNF-κBシグナル伝達が不全になり、アポトーシスが亢進します。今回私たちは、HOIP欠損T細胞株(Jurkat細胞)ではTNF-α刺激によってアポトーシスが惹起される際にHOIPのAsp390がカスパーゼによって切断され、脱ユビキチン化酵素に結合しているN末領域とE3活性をもつC末領域に分かれることを見いだしました。また、LUBACの基質として新たにFADDを同定し、NF-κB活性化時にはNEMOと同様にFADDも直鎖状ユビキチン化されること、アポトーシス時にはこれらの直鎖状ユビキチン化が減弱することを明らかにしました。これらの結果から、アポトーシスの過程でLUBACがカスパーゼの標的基質であること、FADDの直鎖状ユビキチン化がアポトーシス惹起を抑制している可能性が示唆された。本論文は昨年11月に関連論文が出たため(Mol Cell Biol 36, 3010, 2016)慌てて速報誌に出しましたが、直後にWalczakらがTRAIL誘導性細胞死におけるLUBACの構造・機能変換について発表するなど(EMBO J, in press)、改めて厳しい競争下にあることを認識した次第です。今後さらに精進が必要と考えています。

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