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PubMedID 32512835
Title A Human DUB Protein Array for Clarification of Linkage Specificity of Polyubiquitin Chain and Application to Evaluation of Its Inhibitors.
Journal Biomedicines 2020 Jun;8(6):.
Author Takahashi H,Yamanaka S,Kuwada S,Higaki K,Kido K,Sato Y,Fukai S,Tokunaga F,Sawasaki T
  • A Human DUB Protein Array for Clarification of Linkage Specificity of Polyubiquitin Chain and Application to Evaluation of Its Inhibitors.
  • Posted by 愛媛大学プロテオサイエンスセンター 高橋 宏隆
  • 投稿日 2020/07/27

脱ユビキチン化酵素(DUB)は、ユビキチン化されたタンパク質からユビキチン分子を取り除いたり、ポリユビキチン鎖を切断することで、ユビキチン化を介した様々な細胞応答を負に制御する重要な因子である。これまでに、細胞内におけるDUBの機能不全や過剰な発現が、がんや神経疾患などの様々な疾患を惹起することが報告されており、DUBは薬剤標的としても注目されている。しかし、ヒトに約100種類存在するDUBの多くは、生化学的特徴付けが成されておらず、酵素活性の有無やユビキチン鎖特異性が不明のままである。
本研究では、真核生物の多種多様なタンパク質合成に実績のあるコムギ無細胞タンパク質合成系(コムギ無細胞系)を用いて、ヒトのほぼ全てのDUBを完全長組換えタンパク質として合成し、それらのユビキチン鎖特異性の決定を試みた。コムギ無細胞発現ベクターに組み込んだ89種類のDUBを無細胞タンパク質合成した結果、88種類のDUBの発現がウェスタンブロット解析により確認された。これらの組換えDUBタンパク質について、8種類の重合様式の二量体ユビキチンを用いてDUB反応を行い、80種類のDUBにおいてユビキチン鎖特異性を決定した。これらのDUBにはユビキチン鎖特異性や活性の有無が未報告のDUBが多数含まれていた。興味深いことに、M1型二量体ユビキチンに有意な切断活性を示したDUBはUSPファミリーの9種類とOTUファミリーのOTULINのみで、他のDUBはイソペプチド結合で形成されるリジン型二量体ユビキチンに対して高い活性を示したものでも、ペプチド結合であるM1型二量体ユビキチンへの活性は認められなかった。また、これまでDUBの網羅的な生化学的解析はRitortoら(2014, Nature communications)の32 種類が最多であり、本研究ではこれを大きく上回る数のDUBについてユビキチン鎖特異性を決定することに成功した。さらに、これらの活性型のDUBを用いて、DUB阻害剤の選択性を評価するDUBパネルの作製に成功した。これらの結果は、DUBの基礎研究のみならず、DUB阻害剤開発においても非常に重要なツールになることが期待される。

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