分子細胞生物学 | 数理解析

PubMedID 33329596
Title Cellular and Mathematical Analyses of LUBAC Involvement in T Cell Receptor-Mediated NF-κB Activation Pathway.
Journal Frontiers in immunology 2020 ;11():601926.
Author Oikawa D,Hatanaka N,Suzuki T,Tokunaga F
  • TCR刺激による迅速なNF-kB活性化へのLUBACの寄与と数理モデル解析
  • Posted by 大阪市立大学大学院医学研究科分子病態学 及川大輔
  • 投稿日 2020/12/18

LUBACによる直鎖状ユビキチン鎖の生成は、各種サイトカイン(TNF-a、IL-1bなど)やPAMPsなどの刺激に伴うNF-KBシグナルの活性化に深く関与することが知られている。しかし、T細胞における抗原受容体(TCR)刺激に伴うNF-kB活性化への直鎖状ユビキチン鎖の寄与については不明な点が多い。
そこで本論文では、ヒトT細胞株(Jurkat細胞)を用いて、TCR刺激に伴うCBM複合体を介したNF-kBシグナル活性化と、TNF-a刺激に伴うNEMOを介したNF-kBシグナル活性化、それぞれに対するLUBACの寄与について比較解析を進めた。その結果、TNF-a刺激とは異なり、ヒトT細胞株(Jurkat細胞)をTCR刺激すると、NEMOへの直鎖状ユビキチン鎖の付加はほとんど起こらず、CBM複合体にMALT1、CARMA1、BCL10の順に直鎖状ユビキチン鎖が付加されることを見出した。MALT1への直鎖状ユビキチン鎖の付加やIKK活性化は、OTULINの単独欠損によって亢進するものの、CYLDの単独欠損は大きな影響を与えなかった。また、数理シミュレーション解析から、TCR刺激に伴うNF-kB活性化は、TNF-a刺激に伴うNEMOへの直鎖状ユビキチン鎖の付加を介した経路に比べて、より迅速に引き起こされることが示唆された。

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