分子細胞生物学

PubMedID 29033128
Title The DNA Inflammasome in Human Myeloid Cells Is Initiated by a STING-Cell Death Program Upstream of NLRP3.
Journal Cell 2017 Nov;171(5):1110-1124.e18.
Author Gaidt MM,Ebert TS,Chauhan D,Ramshorn K,Pinci F,Zuber S,O'Duill F,Schmid-Burgk JL,Hoss F,Buhmann R,Wittmann G,Latz E,Subklewe M,Hornung V
  • ヒト細胞(ミエロイド系細胞)における、細胞内dsDNAによるIL-1β産生のメカニズムを解明
  • Posted by 大阪市立大学 大学院医学研究科 分子病態学 後藤 栄治
  • 投稿日 2017/11/27

インフラマソーム(Inflammasome)は、細菌・ウイルス感染、アスベスト・シリカ等の細胞障害性物質により活性化し、生体防御に重要な働きを持つ炎症性サイトカインIL-1βの産生を制御する細胞内タンパク質複合体です。インフラマソームは、NLRC4、NLRP1、NLRP3、AIM2の4種類が知られており、それぞれ異なる細胞内因子を認識し、IL-1βを産生します。

これまで、マウスを用いた研究で、細菌・ウイルス感染由来等の細胞内dsDNAを認識し、IL-1βを産生するのはAIM2-Inflammasome(AIM2は唯一直接dsDNAと結合出来るため)だと言われてきましたが、今回著者らは、ヒト細胞(ミエロイド系細胞)では、細胞内dsDNAにより活性化し、IL-1βを産生するのはAIM2-Inflammasomeではなく、NLRP3-Inflammasomeであることを明らかにしました。

また、NLRP3は直接dsDNAを認識できないのですが、NLRP3-Inflammasome活性化の上流で、感染時のType-I IFN産生に重要なDNAセンサーとして知られるcGAS-STINGがdsDNAを認識→STINGのリソソーム膜への輸送→STING依存的なリソソーム膜の崩壊及びリソソーム関連細胞死→細胞内カリウムイオン濃度の減少が起こり、これがNLRP3-Inflammasomeの活性化を引き起こすことを見出しています。

また、今回の論文により、cGAS-STINGは、細菌・ウイルス感染時において、Type-I IFNの産生だけではなく、IL-1βの産生にも寄与していることも明らかとなりました。

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