分子細胞生物学

PubMedID 29395066
Title OTUD4 Is a Phospho-Activated K63 Deubiquitinase that Regulates MyD88-Dependent Signaling.
Journal Molecular cell 2018 Feb;69(3):505-516.e5.
Author Zhao Y,Mudge MC,Soll JM,Rodrigues RB,Byrum AK,Schwarzkopf EA,Bradstreet TR,Gygi SP,Edelson BT,Mosammaparast N
  • OTUD4: リン酸化によって活性特異性が変化するユニークな脱ユビキチン化酵素
  • Posted by 大阪市立大学 大学院医学研究科 分子病態学 後藤 栄治
  • 投稿日 2018/02/13

脱ユビキチン化酵素(DUB)は、システインプロテアーゼ(USP型、OTU型、UCH型、Josephin型)、または金属プロテアーゼ(JAMM型)に属し、ヒトでは約93種存在し様々な細胞機能に関与しています。

今回紹介するOTUD4は、OTU型に属し、大腸菌発現系による組み換えタンパク質を用いた解析では、K48型ユビキチン鎖を特異的に切断することが分かっていましたが、これまでそのDUBとしての機能は分かっていませんでした。

今回著者らは、OTUD4は細胞内でリン酸化されると、DUB活性がK48型ユビキチン鎖特異的からK63型ユビキチン鎖特異的に変化することを見出しました。そして、活性が変化したOTUD4はMyD88に付加されたK63型ユビキチン鎖を切断することにより、TLR/IL-1βシグナルを介したNF-κBの活性化を抑制することを明らかにしました。

また、OTUD4のキナーゼとしてCasein Kinase II (CK2)を見出していますが、リン酸化がなぜDUB活性の変化を誘導するのかについてのデータはありませんでした(おそらく何らかの構造変化ではないかと思いますが)。

生体内のE3ユビキチンリガーゼが約700種類近く存在しているのに対し、DUBは約93種類と少なくても良いのは、もしかすると本論文で示されたようにリン酸化等の修飾により、DUB活性の特異性が変化し、様々な基質に対応出来るようになるからかもしれません。

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