文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究(研究領域提案型)平成28年度~平成32年度
PubMedID | 28759028 |
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Title | Innate immune sensing of cytosolic chromatin fragments through cGAS promotes senescence. |
Journal | Nature cell biology 2017 Sep;19(9):1061-1070. |
Author | Glück S,Guey B,Gulen MF,Wolter K,Kang TW,Schmacke NA,Bridgeman A,Rehwinkel J,Zender L,Ablasser A |
細胞老化はさまざまなストレスにより引き起こされ、恒久的な細胞周期停止により特徴付けられる。老化細胞はさまざまな炎症性因子(SASP)を分泌する。SASPを制御する機構はこれまで明らかになっていない。本論文で著者らは、老化とSASPの制御における自然免疫性のDNA認識機構の役割を明らかにした。
まず細胞内DNAセンサーcGAS欠損細胞では、細胞老化に伴う細胞周期停止が見られず、老化マーカー遺伝子の発現も減弱していた。cGASは酸化ストレスにより誘導される老化を促進することがわかった。さらに老化細胞においてcGASが細胞質のクロマチン断片を認識し、活性化したcGASはSTINGを介してSASPの分泌を引き起こし、パラクラインによって周囲の細胞の老化を亢進することを示した。著者らは、in vitroでさまざまな細胞老化シグナルがcGAS-STING経路と関連していること、in vivoでX線照射やがん遺伝子活性化によるcGAS依存的な細胞老化の誘導を示した。
老化細胞がSASPを分泌してパラクラインに老化を誘導する仕組みと老化の分子機構として炎症シグナルが関係している点が興味深い。また炎症の起点として細胞内のcGASによるクロマチン断片の認識が示されている。この現象が単なる自己免疫ではなく生体内でどのような役割があるのか、また疾患との関連について、今後の研究の展開が期待される。
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