文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究(研究領域提案型)平成28年度~平成32年度
PubMedID | 29180807 |
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Title | Viral unmasking of cellular 5S rRNA pseudogene transcripts induces RIG-I-mediated immunity. |
Journal | Nature immunology 2018 Jan;19(1):53-62. |
Author | Chiang JJ,Sparrer KMJ,van Gent M,Lässig C,Huang T,Osterrieder N,Hopfner KP,Gack MU |
細胞内の核酸センサーRIG-IはRNAウイルス由来の二本鎖RNAを認識する。RIG-IはDNAウイルスに対して抗ウイルス応答の役割を持つが、DNAウイルス感染時に認識される内在性のRNAについてはこれまでわかっていなかった。
そこで著者らは、RNA-seqを用いてHSV-1感染時にRIG-Iと結合する宿主由来のRNAを網羅的に調べたところ、RNA5SP141を同定した。RNA5SP141は、5S rRNA偽遺伝子でRNAウイルスのように5’端に3リン酸を有していて、TSTやMRPL18などの結合タンパク質と共に核内に局在している。HSV-1感染時は、ウイルス誘導性の宿主タンパク合成阻害によりRNA5SP141相互作用タンパク質量が減少し、核から細胞質へ局在を変えてRIG-Iとの結合量が増えることで1型IFN産生が亢進することがわかった。またRNA5SP141をノックダウンするとHSV-1、EBV、IAVに対する抗ウイルス応答が著しく減弱した。
これらの結果から、抗ウイルス免疫は宿主のRNAによって誘導され得るということが明らかとなり、特異性の点で広範囲なウイルスに対してRIG-Iは抗ウイルス応答を誘導できることがわかった。
宿主細胞の偽遺伝子を用いた巧みな分子機構が面白い。ウイルスの種類によって、認識する核酸センサーを使い分けていると考えられているが、多様な機構でセーフティネットが張られている可能性があるが、時間差で生じる抗ウイルス応答が実際の生体内でどのように効いているのか興味深い。
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