分子細胞生物学

PubMedID 29742413
Title Single-Molecule Light-Sheet Imaging of Suspended T Cells.
Journal Biophysical journal 2018 May;114(9):2200-2211.
Author Ponjavic A,McColl J,Carr AR,Santos AM,Kulenkampff K,Lippert A,Davis SJ,Klenerman D,Lee SF
  • Single-Molecule Light-Sheet Imaging of Suspended T Cells
  • Posted by 山口大学大学院 創生科学研究科(理学部) 岩楯 好昭
  • 投稿日 2018/06/11

適応免疫応答は、T細胞受容体の誘発によって開始される。カバーガラスと細胞基底部の界面での全反射蛍光顕微鏡による1分子イメージングは​​、この誘発過程を研究するために一般的に使用される。残念なことに、一連の全反射蛍光顕微鏡による1分子イメージングによる実験では、シグナルタンパク質および受容体の拡散挙動および組織化が活性化よりも前から制限されてしまっていそうである。しかしながら、分子挙動と細胞状態が、どのように実験条件、すなわちカバーガラスと細胞基底部の界面の接着条件、に依存してどの程度影響を受けるかは不明である。この研究では「1分子ライトシート顕微鏡観察」を実施した。1分子ライトシート顕微鏡観察によって、細胞内の任意の平面で受容体1分子を直接可視化して、生きた休止期のT細胞のタンパク質の挙動を研究することができた。1分子ライトシート顕微鏡法は全反射蛍光顕微鏡法に匹敵する高品質の1分子蛍光画像の取得を可能にした。1分子の光シート顕微鏡法を用いて基質接着したT細胞の頂端面(カバーガラスと接着してない側)と基底面(接着側)を比較することにより、ポリリジンコートやフィブロネクチンコートなど、これまで多くの研究で用いられてきたほとんどのコートガラス表面が膜タンパク質(T細胞受容体およびCD45)の拡散に深く影響し、カルシウム流入を誘発した。本研究の結果は、休止T細胞を研究するとき、細胞をアガロース中に懸濁させることが、接着の影響を最も避けられる良い方法であることを示唆している。

細胞遊走を研究するときGFPや色素で染色した細胞内分子の挙動を共焦点レーザー顕微鏡で観察する方法がよくとられる。この際、励起光による色素の退色と細胞のダメージが常に問題になる。ライトシート顕微鏡はその両者を軽減する大変よい方法である。ところが、遊走細胞の多くは 10 µm ほどのサイズで 100 倍の対物レンズを使用したいが、照明側と撮影側に直交する2つの対物レンズを使うライトシート顕微鏡ではそれが難しい。この論文では、一般的なラボで適用可能な簡便な方法で通常の倒立顕微鏡を 100 倍の対物レンズを使用可能なライトシート顕微鏡化する方法を解説し、1.3 µm のライトシート照明を実現している。

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