分子細胞生物学

PubMedID 30611571
Title Small-molecule inhibitors of linear ubiquitin chain assembly complex (LUBAC), HOIPINs, suppress NF-κB signaling.
Journal Biochemical and biophysical research communications 2019 Feb;509(3):700-706.
Author Katsuya K,Oikawa D,Iio K,Obika S,Hori Y,Urashima T,Ayukawa K,Tokunaga F
  • Small-molecule inhibitors of linear ubiquitin chain assembly complex (LUBAC), HOIPINs, suppress NF-κB signaling.
  • Posted by 大阪市立大学大学院医学研究科分子病態学 及川大輔
  • 投稿日 2019/01/21

LUBACは、活性中心を持つHOIPとその結合タンパク質であるHOIL-1L及びSHARPINの3サブユニットから構成され、ユビキチンのN末端を介する直鎖状ポリユビキチン鎖を生成する唯一のユビキチンリガーゼ(E3)複合体である。LUBACによる直鎖状ユビキチン鎖生成は、炎症応答や免疫制御に重要なNF-κBシグナルを活性化し、さらに細胞死制御にも関与することが知られ、その機能破綻は、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、神経変性疾患など様々な疾患発症に関連することから、創薬標的としても高く注目されている。
最近我々は、HOIPの活性を特異的に抑制する阻害剤としてHOIPIN-1を同定していたが(SLAS discovery 2018)、今回、当該化合物をベースとした化合物展開によって、より高い抑制能を備える化合物を取得した。新規に合成した展開体のうち7つで、LUBACに対する抑制能の向上をin vitroでの認めた。中でもHOIPIN-8は、in vitroで255倍、細胞レベルでのLUBAC過剰発現によるNF-kB活性化で10倍、TNFa刺激によるNF-kB活性化で4倍、HOIPIN-1と比べて高い抑制能を示した。一方、細胞毒性はHOIPIN-1と同様、低いことから、今後、LUBACを標的とした研究解析を進める上で重要な研究ツールとなりうる、さらには、関連した各種炎症性疾患に対する新たな創薬シードとしても期待される。

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