分子細胞生物学

PubMedID 30894749
Title A NIK-SIX signalling axis controls inflammation by targeted silencing of non-canonical NF-κB.
Journal Nature 2019 Apr;568(7751):249-253.
Author Liu Z,Mar KB,Hanners NW,Perelman SS,Kanchwala M,Xing C,Schoggins JW,Alto NM
  • A NIK-SIX signalling axis controls inflammation by targeted silencing of non-canonical NF-κB.
  • Posted by 大阪市立大学大学院医学研究科分子病態学 及川大輔
  • 投稿日 2019/05/20

NF-κBはストレスやサイトカイン、紫外線等の刺激により活性化され、免疫反応において中心的役割を果たす転写因子の一つであり、急性および慢性炎症反応や細胞増殖、アポトーシスなどの数多くの生理現象に関与している。またその不良は、クローン病や関節リウマチなどの炎症性疾患をはじめとし、癌や敗血症性ショックなどの原因となり、特に悪性腫瘍では多くの場合NF-κBの恒常的活性化が認められる。
非古典的経路(non-canonical)においては、細胞への刺激により活性化したNIK (NF-κB Inducing Kinase) がIKKαから構成される酵素複合体を活性化し、p100-RelB複合体を限定分解へと導く。これにより産生されたp52-RelBはDNAに結合し、転写活性を示す。

本論文で筆者らは、非古典的経路の活性化に伴い誘導される新たなNF-kBシグナル調節因子としてSIX familyタンパク質を同定している。
1. NIK経路の活性化に伴いUb化&プロテアソーム分解が抑制されることで、タンパク質レベルで安定化し、
2. RelA/Bと結合することでNF-kBターゲットのpromoter活性を抑制する
ことを示し、さらにSIXタンパク質を抑制することで
3. 非小細胞肺がん(NSCLC)(RAS & p53-driven NSCLC; H1155、H1792、H2087)のBV6-TNFaに対する感受性を亢進させ、アポトーシス経路を介して増殖を抑制することを見出した。

単なる新規NF-kBシグナル調節因子の同定に留まらず、肺癌モデルに対する有効性を示すことでトップジャーナルにアクセプトされている。

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