分子細胞生物学

PubMedID 31504727
Title Non-proteolytic ubiquitination of OTULIN regulates NF-κB signaling pathway.
Journal Journal of molecular cell biology 2019 Sep;():.
Author Zhao M,Song K,Hao W,Wang L,Patil G,Li Q,Xu L,Hua F,Fu B,Schwamborn JC,Dorf ME,Li S
  • Non-proteolytic ubiquitination of OTULIN regulates NF-κB signaling pathway.
  • Posted by 大阪市立大学大学院医学研究科分子病態学 及川大輔
  • 投稿日 2019/09/27

OTULINは直鎖状ユビキチン鎖を特異的に分解する脱ユビキチン化酵素で、LUBACによるNF-kBシグナルの活性化に対して拮抗的に働く。しかしながら、OTULINの活性制御機構については不明な部分が多い。

今回著者らは、OTULINに結合する新規因子の探索を進め、TRIM32を同定した。TRIM32は、C末のNHLリピートを介して、OTULINのOTUドメインと結合した。著者らは以前、TRIM32がNF-kBシグナルを活性化させることを報告していたが、OTULIN-KO細胞では、この活性化がキャンセルされた。NF-kBシグナルの活性化には、TRIM32のRINGドメインが重要で、OTULINにK63型ユビキチン鎖を付加すること、また、これによりOTULINとHOIPの相互作用が阻害されることを示している。

以上から、TRIM32はOTULINの上流で機能し、OTULINに非分解型ユビキチン鎖を付加することで、HOIPとの相互作用を阻害し、直鎖状ユビキチンの亢進を介してNF-kBシグナルを活性化させる可能性が示唆された。

いずれのデータも過剰発現系での解析が多く、内在性の解析などが不足している感があるが、OTULINの活性を制御する新たな分子機序のアイデアとしては面白い。TRIM32のNHLリピートは、様々なタンパク質との相互作用を担い、また、その遺伝子変異は肢帯型筋ジストロフィーを引き起こすことも報告されている。TRIM32-OTULINを介したこのような制御の破綻が、各種疾患の発症とどのように関連するのか、興味が持たれる。

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