文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究(研究領域提案型)平成28年度~平成32年度
PubMedID | 30622194 |
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Title | Phosphorylation of the phosphatase PTPROt at Tyr is a molecular switch that controls osteoclast activity and bone mass in vivo. |
Journal | Science signaling 2019 Jan;12(563):. |
Author | Roth L,Wakim J,Wasserman E,Shalev M,Arman E,Stein M,Brumfeld V,Sagum CA,Bedford MT,Tuckermann J,Elson A |
破骨細胞による骨の再吸収は、骨の恒常性維持に重要である。チロシンキナーゼSrcは、破骨細胞内で受容体型チロシンホスファターゼPTPROtによって活性化され、破骨細胞活性を亢進する。しかし、置かれた状況によっては、PTPROtはSrc活性を阻害することもある。筆者らは、in vivoおよびin vitroの実験によって、PTPROtには二機能性があり、Srcの抑制性残基Tyr527と活性化残基Tyr416の両方を脱リン酸化できることを示した。野生型マウスとPTPROtノックアウトマウスの骨量は同程度であったが、内在性PTPROtのC末端リン酸化部位であると推定されるTyr399をフェニルアラニンに置換したマウスでは、骨量が増加し、破骨細胞活性が低下していた。このノックインマウス由来の破骨細胞ではSrc活性も低下していた。培養細胞および両マウス株由来の破骨細胞での実験では、Tyr399がリン酸化されていない状態のPTPROtはSrcの活性化部位pTyr416の脱リン酸化を引き起こした。対照的に、Tyr399のリン酸化は、PTPROtはGrb2を介したSrcの動員やSrcの抑制性部位Tyr527の脱リン酸化を可能にし、Src活性を刺激した。筆者らは、PTPROtのTyr399の可逆的リン酸化がSrcに対するPTPROtの相反する活性を選択する分子スイッチとなって干渉可能なシグナル伝達出力を維持しており、in vivoにおいて、このリン酸化イベントを阻害することによって生理学的作用を誘導できると結論づけた。たいていの受容体型チロシンホスファターゼには、C末端にリン酸化部位候補が存在することから、筆者らは、その部位のリン酸化を阻止する、またはそのリン酸化によって引き起こされる作用を阻害することが、受容体型チロシンホスファターゼの触媒活性の抑制に代わる手法となり、治療効果をもたらす可能性があることを提唱した。
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